ブラザー工業、フィリピンに移転

2013年8月12日に、ブラザーインダストリーズ(フィリピン)はマニラの南60キロ、バタンガスのFirst Philippine Industrial Parkにインクジェットカートリッジの工場をオープンした。

大統領Benigno Simeon Aquino3世を始め、通商産業長官Gregory L. Domingo、フィリピン経済区庁の局長Lilia B. De Lima、そして日本大使卜部敏直といった各界幹部の面々が就任式に出席した。

ブラザー工業(株)代表取締役社長の小池利和とブラザー工業株式会社執行役員の三輪雄二は就任式に出席するため、日本から訪れた。

ブラザーインダストリーズ(フィリピン)株式会社代表取締役社長の伊東敏夫と、日本代表取締役社長の小池がホストを務めた。

13.4ヘクタールの敷地に広がる工場は57.7億ペソの投資を意味した。今では3000人以上を雇用している。最終的には3,500人に増加される予定だ。輸出は2013年の$ 492.2万ドルから2014年には$ 6077万ドルまで爆発的に増加した。

バタンガスのプラントは、ブラザーインダストリーズのアジアの製造業務の計画実行においての鍵となる、同社にとってベトナムの工場に次いで、アジアで二番目に大きい工場だ。 それ以前は、日本の巨大なプリンタ機メーカーの製造業を支えていたのは中国だった。

しかし、同社は様々な外的な問題に直面した。中国の人件費は5年間で倍増し、汚染が深刻化。北京と東京の尖閣諸島をめぐる論争を受けて反日感情が噴出した。 

ブラザー工業は、新工場の場所を探すことにし、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアなど検討した。 タイとインドネシアは労働コストが高く、ミャンマー、カンボジアには、適切なインフラや部品供給のセットアップがなかった。ブラザーは、フィリピンに決めた。

同社は若い即戦力となり英語を話せるフィリピン人労働者に注目した。「若いということは、我々は将来の労働者の安定供給が保証されていることを意味しました。また英語は、我々は彼らと直接コミュニケーションが取れることを意味したのです。」ブラザーインダストリーズ(フィリピン)社長の伊藤俊雄は説明する。ブラザーが3つの工場を持っている中国では、「労働者と直接コミュニケーションを取ることは非常に困難です。 たったの16人しか英語を話すことができません。」

また、フィリピンでは今、市場が活気づいている。ブラザーは、1つのカートリッジで2,4000ページを印刷することができる、超高性能のプリンタを導入しています。標準は1,000ページであるため「消費者はページあたりの低コストを得ることができます」と伊藤は言う。

ブラザー工業は「中国の製造施設は、以前にはブラザーグループのインクジェット事業で主要な役割を果たしてきたものの、フィリピンの新施設もインクジェット事業を開始します。ブラザーグループは生産能力を強化し、最適化し、世界市場シェアの拡大を目指してまいります。」と述べた。

しかし、ブラザーはフィリピンでも多くの問題があることに直面している。不十分なインフラや道路、鉄道がないこと、港の混雑、高コストの電力、空港へのアクセス。伊藤は苦笑と共にこれらを列挙した。

マニラ市によってトラックが禁止されたことは「大きな、大きな問題でした」と伊藤は語る。「我々は、他の国から輸入する部品が届かず、2〜3週間も遅延して来ました。」

「一方でまた、出荷も2〜3週間の遅れを喫しました。我々は、売上目標を達成することに非常に苦しみました。」ブラザーは通常より多くの部品の備蓄を迫られ、顧客は納品の遅れに見舞われた。

出典:BizNewsアジア/ 2015年5月11日から18日